Kindleの固定レイアウトって何?作り方とよくある電子書籍との違い

fixed-layout Kindle出版

Kindleは、よくある電子書籍(リフロー型)とは別に固定レイアウトで出版できます。固定レイアウトは絵本・旅行ガイド・写真集など画像主体の本に使われる形式ですが、画像を複数挿入するならビジネス書でも使えます。

紙の本(ペーパーバック)が圧倒的に作りやすくなるので、紙の本も販売したい人におすすめです。

この記事では、実際に8冊Kindle本を出版し、300以上のカスタマーレビューを獲得している私きたひろが、Kindleの固定レイアウトの作り方を解説します。

Kindleの固定レイアウトは見え方の調整ができない

Kindleの固定レイアウトは、スマホやタブレットなど画面の大きさが違っても、各ページに決められた領域までしか表示できません。画像や文字の位置がずれないメリットがある反面、一般的な電子書籍(リフロー型)でできることができないデメリットもあります

リフロー型との違い

  • 文字の大きさが自由に変更できない
  • 媒体ごとに最適化してくれない
  • ハイライトやマーカーなどが引けない

固定レイアウトは2022〜2023年にかけて流行りましたが、あまりにも文字が大きすぎ&ページ数稼ぎをしすぎのKindle本が増え、読者からの低評価も増えました。固定レイアウトに対するイメージは現在も良くないです。

ただ、私としてはペーパーバック(電子書籍の紙バージョン)が作りやすくなるメリットがあるので、8冊のKindle本を全て固定レイアウトにしています。

Kindle本(電子書籍)を固定レイアウトにするメリット

Kindle本(電子書籍)を固定レイアウトにするメリットは3つあります。

ペーパーバック(電子書籍の紙バージョン)が作りやすい

Kindle本を固定レイアウトにすると、ペーパーバックが作りやすいです。サイズを紙の本のサイズに変えて微調整すれば、紙の本に対応した原稿が完成します。

日本では紙の本のニーズは一定数あるので、できる限りペーパーバックも出版したほうがいいでしょう。

画像や文字の位置がずれない

画像や文字の位置がずれないので、自分が意図した通りに読んでもらう・見てもらうことができます。

例えば本のなかで「〇〇するためにはどうしたらいいでしょうか?」などクイズ形式を入れる場合は、リフロー型にすると答えが丸見えになることもあります。

固定レイアウトなら絶対にずれないので、丸見えになる心配がありません。

画像・表・図(グラフ)が見やすい

固定レイアウトは、画像・表・図(グラフ)が見やすいです。どのスマホで見てもページのレイアウトが変わらないので、違和感がありません。

本の内容によりますが、画像や表を複数使う場合は固定レイアウトのほうが見やすいです。賛否両論ありますが、「シンプルで見やすい」という高評価もいただいているので、あえて固定レイアウトにするのもありだと思います。

Kindle本(電子書籍)を固定レイアウトにするデメリット

一方で、Kindle本(電子書籍)を固定レイアウトにするデメリットも3つあります。

余白は仕方がないのですが、ファイルの重さやページ数稼ぎについては、工夫次第である程度調整できます。

ファイルが重い

固定レイアウトは全ページが画像扱いになってしまうので、リフロー型と比べてファイルが重くなります。少しでも軽くするために、ファイルは必ず圧縮しましょう。

ファイルを圧縮すると3分の2程度の容量になるので、ダウンロード時のストレスが軽減されます。私のKindle本ではファイルサイズを20〜25MB(メガバイト)に抑えており、このサイズならスマホでダウンロードしても数秒の待ち時間で済みます。

縦長のスマホだと上下の余白が大きくなる


最近は縦長スマホが増えていますが、iPhone8など少し前のスマホの縦横比に合わせないと、固定レイアウトではページが切れてしまう可能性があります。

そのため、縦長のスマホではどうしても余白が大きく見えてしまいます。

ページ数を稼いでいるような印象がついてしまう

余白と関連して、ページ数稼ぎに固定レイアウトを使っている印象はつきやすいです。固定レイアウトの仕様上どうしようもないので、リフロー型と比べて、よりKindle本の内容で満足してもらう必要があります。

極端な話ですが、全てのページで1ページあたり100文字もないような本は、どう考えても読者に失礼です。

固定レイアウトの作り方【実際に出版している方法を紹介】

ここでは、実際に私が出版している固定レイアウトの作り方を紹介します。

ステップ1. Googleドキュメントなどで原稿を書く

まずは、Googleドキュメントなどで原稿を書きましょう。いきなり書き始めるのではなく、誰に向けた本を書くのか考えて、全体の構成(目次)を決めたうえで書いてください

1冊あたりの文字数は個人差があるので、ここではあえて言いません。文字数が少なくても、読者が満足できるなら構わないと私は考えています。

ステップ2. フォーマットに従いGoogleスライドへコピペ

フォーマットに従い、Googleスライドへコピペしましょう。固定レイアウト作成用フォーマットをコピーして作成すると、自分のKindle本の原稿が入力できます。

サイズは固定レイアウト用に最適化されているので変更せず、サイズ以外の色や形式を自由に改変してみてください

ステップ3. PDFでダウンロードして圧縮

Googleスライドができたら、PDFファイルでダウンロードします。

画像引用:Googleスライド

PDFファイルの圧縮は、iLovePDF(アイラブPDF)を使いましょう。圧縮レベルは「推奨の圧縮」を選んでください。圧縮率を高くすると文字がかなり荒くなり、低圧縮だとファイルが重くなります。

画像引用:iLovePDF

ステップ4. Romancer(ロマンサー)にファイルと目次情報を入力

PDFファイルを圧縮したら、Romancer(ロマンサー)にファイルと目次情報を入力しましょう。

画像引用:Romancer

ロマンサーで固定レイアウト用のファイル(EPUBファイル)をダウンロードするには、有料プランの契約が必要です。

<ロマンサーの有料プラン>

  • 月額プラン(月660円):とりあえず1冊出版したい人向け
  • サポーター(1万1,000円):今後もKindle出版をし続けたい人向け

参照:料金プラン|Romancer

サポーターになると、月額プランが期間の制限なく利用できます。1冊出版するくらいなら、とりあえず1か月だけ月額プランを契約すれば、十分です。無料で固定レイアウトを作るツールよりはるかに簡単で、外食を月1回分我慢するだけの価値はあります。

有料プラン契約後、会員メニューの「作品をつくる」を選択してください。

以下の画面に変わったら、左にある「新規追加」をクリックするとEPUBファイルの作成画面に移ります。


ステップ3で圧縮したPDFファイルを原稿ファイルにアップロードして、タイトル・著者名・組方向(縦書きor横書き)を入力しましょう。

目次は20項目まで追加できます。PDFファイルをみながら間違えないようにページ番号を指定してください。

画像引用:Romancer

最後に変換を押せば、EPUBファイルの作成が始まります。作成には数分かかります。

ステップ5. 出来上がったEPUBファイルをダウンロード

出来上がったEPUBファイルをダウンロードすれば、固定レイアウトの原稿は完成です。あとはこのまま出版時に原稿ファイルとしてアップロードするだけです。

Kindleの固定レイアウトで読者からの低評価を抑える方法

Kindleの固定レイアウトで読者からの低評価を抑える方法が5つあります。固定レイアウトを嫌う読者は一定数いるので、嫌悪感を持たれないように気をつけましょう。

<低評価を抑える方法>

ファイルを圧縮する

固定レイアウトを作るときは、必ずステップ3で紹介した流れでPDFファイルを圧縮しましょう。圧縮するとファイルのサイズが2/3(約20MB)くらいになるので、ダウンロード時の重さが軽減されます。

これでもリフロー型と比べるとかなり重いのですが、スマホでダウンロードした場合でも「多少遅いかな」くらいでギリギリ許せるレベルにはなります。

ページのサイズを15×24cmにする

ページのサイズを15×24cmにして、小さくしすぎないようにしましょう。2022年頃は固定レイアウトのサイズを極端に小さくしてページ数を荒稼ぎする手法が横行しましたが、いうまでもなく読者からは不評でした。

ちなみに15×24cmのサイズは縦横比9:14.4となり、iPhoneSE3やiPhone8の縦横比9:16にも対応しています。ステップ2で紹介した固定レイアウト作成用フォーマットも、このサイズです。

文字のサイズを18程度にして行間を開けすぎない

文字のサイズを18程度にして、行間を開けすぎないようにしましょう。固定レイアウトは文字サイズが変更できないので、年配の人向けも意識して小さすぎないほうがいいです。

一方で、大きすぎると間抜けな印象が出てしまい、読者からの低評価につながる傾向があります。実際に文字サイズが大きすぎる人のKindle本のレビューを見たことがありますが、決して好評とはいえませんでした。

画像・表・図(グラフ)のいずれかは必ず入れる

固定レイアウトは絵本・旅行ガイド・写真集など画像主体の本に使われるため、画像・表・図(グラフ)のいずれかは必ず入れましょう。

文章しかないのに固定レイアウトで作成されたKindle本は、Amazonから修正を求められる可能性もあります。

ページ数を増やしすぎない

固定レイアウトは、ページ数に応じてファイルが重くなるので、ページ数を増やしすぎないほうがいいです。「量が多ければ満足度が高い」という意見は作者のエゴであり、読者が理解できる情報量が同じなら短いほうがいいでしょう。

200ページの本を1冊500円で売るなら、100ページの本2冊にして250円、298円で売るほうがいい場合もあります。100ページくらいならスマホでダウンロードしても「ちょっと遅いけど我慢できる」レベルに収まります。

Kindleの固定レイアウトはペーパーバックが作りやすいのでおすすめ

Kindleの固定レイアウトは賛否両論ありますが、ペーパーバック(紙の本)が作りやすいので、本業が忙しい人におすすめです。私は会社員のときにこの方法でKindle本を8冊作成し、ペーパーバックも8冊出版しています。

固定レイアウトを使ってみたい人は、フォーマットから作成してみましょう。

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